スーパーフォーミュラ最終戦で山本がポール・トゥ・ウイン達成!2018年「日本一速い男」に決定

2018全日本スーパーフォーミュラ選手権の最終戦が10月27・28日の2日間、三重県・鈴鹿サーキットで行われ、山本尚貴(TEAM MUGEN)が優勝。

2013年以来5年ぶりとなる2度目のドライバーズチャンピオンを戴冠した。

ホンダ陣営にとっても国内トップフォーミュラ5年ぶり、SF14では初めてのチャンピオンを同車最終年に獲得した。

2018年を締めくくる最終戦は、5人のドライバーにシリーズタイトルを獲得する権利があり、そのうちポイントリーダーのニック・キャシディ(KONDO RACING)、選手権2位の石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、同3位の山本の3名は自力でのチャンピオン獲得が可能という状況で迎えた。

その中でも山本の条件は「ポールポジションを獲得し、かつ優勝すればチャンピオン」という厳しい状況下に追い込まれていた。

山本尚貴が予選を完全制圧

土曜日の予選Q1で山本は、いちはやく1分38秒477と圧巻のタイムを叩き出す。

野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDE LION)のマシンが炎上するトラブルでコースにオイルが撒かれると、この影響で赤旗中断。Q1再開時にはコースは荒れ、ポイントランキングでトップにつけるニック・キャシディ(KONDO RACING)は苦しみながらも8番手でQ2進出。ランキング2位の石浦はQ1を11番手というギリギリのラインで通過する。

しかしその石浦はQ2でタイムを伸ばせずに敗退する一方で、山本はQ2でもトップ通過。ニックは7番手で通過を果たす。

鈴鹿マイスター、圧巻の1発アタック

Q3で先に動き始めたのはニック。どうしてもポールポジション獲得ボーナスの1ポイントが欲しい山本は、ゆっくりと動き始める。そこで出したタイムは1分37秒909と、遂に37秒台に入れ、開幕戦同様、鈴鹿マイスターの名を存分に知らしめると共に、どうしても欲しいポールポジションボーナスの1ポイントを獲得した。

ポイントリーダーのニックは山本に及ばず4番手で予選を終えた。

0.8秒差で迎えた最終ラップ。勝った者がチャンピオン

気持ちのよい秋晴れで迎えた日曜日。14時15分に決勝レースの火蓋が切って落とされた。序盤はソフトタイヤを履く山本が2位以下を引き離して逃げる展開。

いっぽうのニックは、上位陣では惟一となるミディアムタイヤを選択してスタート。序盤はタイヤの温まりの悪さから2周目の1コーナーで、5番手の塚越広大(REAL RACING)に先行を許し、5位に転落。

11番手スタートの石浦はスタートで1つ順位を上げて10位へ。その後9位まで上がったところでいち早くピットイン。

他車がピット・インしていないタイミングに入り、トラフィックを避けてタイムを縮める作戦を採った石浦だったが、それを見たチーム無限は素早く石浦に対処する。山本のチームメイトである福住仁嶺(TEAM MUGEN)をピットインさせ、石浦の前でコースに送り返すことに成功すると、これで石浦が山本に追いつく可能性はほぼゼロといえる見事な采配を見せた。

上位陣で最初に飛び込んだのは、3番手を走行する中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)。14周目にソフトからミディアムへと変える。2番手でニックのチームメイトである山下健太(KONDO RACING)は18周目にピットイン。

後続の動きを見てから判断できる立場にいる山本は、19周目にピットへに入ると、難なく山下の前でコースに復帰することに成功。

山本ぶっちぎりで逃げ切るかと思われたセカンドスティント。このときニックとの「見えない」戦いが始まっていた。山本が1分43秒後半、ニックは1分43秒前半のラップタイムで走行を続けると、ジリジリとタイム差は開いていく。

29周目にニックがタイヤ交換、給油のためにピットストップすると、山本につぐ2位でコースに復帰する。山本はミディアムタイヤ、ニックはソフトタイヤという状況となり、ニックが有利な展開に持ち込み、山本への壮絶な追い上げを開始。

残り5周で約2.8秒差。ニックが毎周0.6秒程度縮めてきており、計算上は最終ラップ近くで追いつきそうな状況に。

残り4周で約2.2秒、残り3周で約1.9秒、残り2周で約1.2秒と、レースはクライマックスへ向かい、サーキットは息が詰まる緊張感に包まれた。 最終ラップに突入した段階で差はなんと0.8秒。ヘアピンやシケインでニックが山本のテールに張り付くものの、鈴鹿を得意とする山本は一切の隙を見せることはなく、最後シケインでニックが立ち上がりでスライドして遅れると勝負あり。こうして山本が今季3勝目をマークし、同時にシリーズチャンピオンを獲得した。狩野恵里婦人へ1日早い誕生日プレゼントとなった。

2位はニック、3位は山下というKONDO RACING勢が入った。

表彰台で弱い酒をたくさん浴びるという手荒い祝福を受けた山本は、時折つらそうな表情を見せながらも「ライバルであり、チャンピオン争いをしていたニック選手とトップ争いを演じたわけですが、最後は前に出た者がチャンピオンになるという構図は、正直描いてはいませんでした。最終ラップまで熾烈な争いをして、速いものがチャンピオンになるという真のフォーミュラカーレースの姿をみなさんに見せることができたかなと思います。ニックがいたから、僕もああいう走りができたと思うし、石浦選手もそうですが、レベルの高い選手と一緒に戦うことができたからこそ盛り上がるレースにもなったと思います。応援してくださったすべてのみなさんに感謝したいと思います」とライバルとチームに対する労をねぎらった。

なお、KONDO RACINGは結成20年目にして初めてとなるチームタイトルを獲得。

来季はスーパーGT500、300両クラス参戦に加え、ニュルブルクリンク24時間耐久レースにも参戦するとあって、活躍の場が大きく飛躍するチームの士気は、これで完全に高まったと言える。

名勝負を生んだSF14にお別れパレード

今期をもって車両の入れ替えとなるSF14。山本の勝利を祝福するかのように隊列が組まれた決勝レース後のウィニングランでは、SF14との別れを惜しむかのようにパレードランがゆっくりと行われた。

デグナーの手前あたりから、優勝した山本、2位のニックを先頭に2列横隊を形勢すると、各ポストのマーシャルが旗を振りながら勝利を祝福。そしてSF14との最後のお別れをした。

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